たんじゅん農法の太陽熱養生処理はこの一連の作業で土の改善を試みる。
透明よりもゆっくりと、そして表面が温まる黒マルチは、作付けの時期や作物によっては向いているということなのだろうか。
あるいは土中の上下で温度が違うことは何かの循環を促したりするのか。
おそらく土の状態によっても透明・黒の向き不向きがあるはずだ。
お邪魔させていただいたクルンノウエンさんでは、実際の作業をしながら、これだけの情報を1週間ちょっとで伝えていただいた。
作業体験だけでなく、その意味を言葉にされているのが自分にはものすごく有用だった。
自分は短期インターンだったが、クルンノウエンさんでは毎年「のら部」という半年~1年の農業体験を実施されている。
自分なら絶対に行きたいわけで、しかし遠くてとても行けないわけで、荒尾市民がうらやましいわたくしである!
しかし手順はわかったけどこれどういう意味があんの?というところを想像も含め今回はまとめてみる。
すべての基本は
「たんじゅん農法は微生物(有用菌)を活性化し、それが出す栄養で野菜が健康に育つ」
そういう農法だということだ。
■硬盤層と微生物
圃場では「硬盤層」という土の層が地中にできていることがある。
慣行農法や有機農法で長年使われた圃場は、ずっと施された肥料が地中に残留しており、それが固く腐った層を作っているのだ。
硬盤層があるとそこで水を止めてしまって水はけが悪くなる。
そして野菜を健康に育てる有用菌は好気菌なので、水はけが悪いと当然、酸素を好む好気菌には悪い環境となっている。
また硬盤層に残留した腐敗した肥料は野菜に吸い上げられる。
野菜が腐敗を吸い上げると、虫が付きやすくなってしまう。
「硝酸態窒素」「硝酸性窒素」等でググると関連の情報は出てくると思う。
■嫌気菌と好気菌
なのでまず土の状態がどうなのかが問題となる。
土の状態が良ければ、土は手に取ればほろほろと崩れる、ふんわりした感じになる。
逆に粘土のようにべっとり農具に貼り付くような感じだと、隙間がなく生き物が住める感じには思えない。
圃場がそういう状態なら、地中に硬盤層ができているかもしれない。
硬盤層や微生物の住みにくそうな土は破砕して水はけを良くし、地中の通気を確保するとともに腐敗を除去しなければならない。
圃場に撒く微生物の入った溶液は、それを促進するためにある。
硬盤層の破砕と嫌気発酵
畑に撒く溶液の中には
- 嫌気菌のイースト菌
- 好気菌の納豆
の両方が入っている。
そして水はけの悪い圃場とは嫌気菌が活動しやすい環境である。
なのでまずイースト菌のほうが活動を始める。
イースト菌は水分を使いつつエタノール発酵でガスを出し、そのガスで地中の硬盤層を破砕する。
またガスは硬盤層だけでなく地中にあちこちに入り込んで水分過多で隙間のない土を改善もすると思う。
つまり土中が通気され水はけがよくなり、土の中に好気菌が住みやすい環境ができる。
好気菌の環境づくり
こうして土中が通気されれば好気菌が活動を開始する。
好気菌は地中にもいるが、納豆菌を入れることでより効率的に好気菌の居住環境を広げていく。
納豆菌が住める環境は他の好気菌も住めるわけで、地中の好気菌が増殖しやすい環境作りに納豆が役立ってるのだろうと思う。
納豆は相当強い菌だとも聞くので、通常の好気菌より強力に増えるとか、初期の嫌気性の環境でも生き残れるといったことがあるのかもしれない。
またバリの実験畑で、嫌気菌は好気菌の餌になると聞いたことがある。
だとするとイースト菌よりも有利になった好気菌が、イースト菌を食べて増殖することになる。
要するに嫌気菌と好気菌が交代しながら働く、それを狙って両方を混ぜた溶液を撒くのだろう。
■養生処理の意味
圃場をマルチやシートで養生して覆うのは、太陽熱により
- 上記の菌の働きをアシストする
- 土の消毒
といった意味がある。
また養生は畝をマルチする場合もあれば、シートを使って面で養生する場合もある。
大きな面積を稼働させないでいいなら、シートのほうが効率的だろう。
作付けが近い場合は畝を立ててマルチにしておかないと作業が間に合わない。
密閉するかしないか
養生する際は通常、ぴっちり密閉する。
これは嫌気発酵で出たガスを逃さず、土中の破砕を促す意味がある。
逆に言えば今回家庭菜園でやったように、土の状態が良ければ好気菌の活動を促すべく密閉しない場合もある。
透明マルチと黒マルチ
また透明マルチはすぐ温度が上がるので短期で養生を終えて植え付けする場合に良いと思われる。
芯まで温まるという効果もあるという。
また黒マルチは表面が温まる。
あるいは土中の上下で温度が違うことは何かの循環を促したりするのか。
おそらく土の状態によっても透明・黒の向き不向きがあるはずだ。
このように透明と黒で結果がどう変わるか?も観察のポイントだという。
土の消毒
熱で土を消毒するのはたんじゅん農法だけではなく広く行われている。
たんじゅん農法では養生処理で微生物の活動を促すが、消毒効果も当然ある。
具体的には
- 病害虫を抑える
- 遮光で防草
- 既に入り込んでいる雑草の実を殺す
等々になる。
■頭も身体もよくわかる
以上は農園でいろいろ聞かせていただいたことに自分の推測も含めまとめている。お邪魔させていただいたクルンノウエンさんでは、実際の作業をしながら、これだけの情報を1週間ちょっとで伝えていただいた。
作業体験だけでなく、その意味を言葉にされているのが自分にはものすごく有用だった。
自分は短期インターンだったが、クルンノウエンさんでは毎年「のら部」という半年~1年の農業体験を実施されている。
自分なら絶対に行きたいわけで、しかし遠くてとても行けないわけで、荒尾市民がうらやましいわたくしである!
✓クルンノウエンで農業体験!
お世話になった熊本県荒尾市のクルンノウエンで毎年開催されている農業体験「のら部」。
✅半期または1年通して参加可能
✅圃場で実際に作物を育てながらたんじゅん農法を学べる
✅自分で育てたたんじゅん野菜を収穫して食べられる!
という、三拍子揃った部活動である!(≧∇≦)b
>> クルンノウエン・のら部
スポットの体験というのでなく、植え付けから収穫まで全部やれるというのが素晴らしいと思うんよなあ。
たんじゅん農法は本当に未来を切り開くナニカだと思うので、荒尾市に通える人ならゼヒ!
てゆーかもう荒尾住んじゃえ(・∀・)
✓太陽熱養生処理についてもっと知ろう
熊本で学んだ、たんじゅん農法の太陽光養生処理~家庭菜園編~熊本で学んだ、たんじゅん農法の太陽光養生処理~営農畑編~
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