2016年6月28日火曜日

アジアの中心・台湾で、古代中国に連なる農的生活に出会う



先日初めて台湾を訪れた。

フィリピンに用事があり、経由すると安かったのでついでに数日滞在した。台南は高雄からINの、北上して台北からアウト。

台南の夕空が好きだった
どこもそんなに日本と変わらない、ごく普通に町という感じだったが、台南の空はとても力強く美しかったなあ。

台南のハワイと呼ばれているところ
でもただ観光もつまらないので、ほそーーい縁を繋いで今井絵理子似の台湾女子に連れてってもらい、宜蘭の無農薬農家さんを訪ねてきた。

大都会・台北から1時間の宜蘭は人も少なく、緑までの距離も近く、福岡の糸島に似た立地条件の住みやすそうな町。めっちゃ雨量が多いらしく、田んぼは冬も普通に湛水してるという。草の具合がどうなのか一度見てみたい。

風景も糸島に似てる
そしてそこで無農薬のお米作りを営む農家さんは、単なる農家さんを超えた文化の担い手だった。

単純に無農薬で田んぼをやるのではなく、そういう営為が実は担っている様々な役割を見据え、そこから世界を変えようとしている。

例えばここでは農作業だけでなく、台湾語のレッスンもやっている。台湾の農業は北京語ではなく台湾語でないと表現できないらしい。台湾語は完全に中国語では書けず、アルファベットで補う。日本語の「てにおは」に似ている。

アルファベットが混じる台湾語
台湾語は古い中国の言葉で、当時の中国主流の人に追われてこちらに住み着いた中華圏の人の言葉。明の時代から繋がる台湾文化は、沖縄ことばが平安時代の日本を受け継ぐように、中共以前の古い心を伝えているのかもしれない。

そういう言葉を学ぶことで、台湾の農業をより深く理解し、さらに台湾に連なる中国文化も農作業を通して見に沁みこんでいく。農的生活と文化は不可分であり、前者を失うことで同時に失われるものは大きい。日本の農業の合理化と衰退と歩を合わせて、日本らしい文化的景観が壊れてしまっているように。この農家さんは農業で生活を立てるというより、そういうものを全て押し戻そうとしているのだ。

台湾語と台湾農業の関係、中国と同距離の日台言語の共通性、この同じような文化圏の持つ世界的意義。。いろんな話を聞くことができた。例えば「国家」は台湾語で「コッカー」。中国語では全然違う発音になる。

日本を含む数か国から同じ志の人を招いて、農的生活の可能性を探るフォーラムを開いたりもしたという。日本、香港、東南アジアのどこからも似たような距離だからそれができる、まさにHEART OF ASIA

自分も農的生活を広める仕事をしたいと思っているので共感することも多く、気づいたら4時間以上話し込んでいた(笑)

ちなみに古代中国文化は四大発明や論語を擁する、ものすごいもの。どれも本質に降りていける人びとでなければ到達できない。言語を通じて、台湾農業はそういうものと繋がっているのだ。そこに潜む悠久の智恵とはどういうものなのか、知ろうとすることには深い意義があるだろう。

そこに国境とか何とか、そんな小さい枠組みを持ち込むのはあまりに窮屈で、愚かだ。だからこそ言語も文化も超えて各国からフォーラムに人が集まるのだ。

農的な生活やそれが伝える文化や芸能は時空を超えて、人類が今羅患している国民国家共同体の病を乗り越える力を持っている。自然農やそれに類する思想のネットワークが、それを支え具現化する。。そんな夢を見た。

夕暮れの田んぼ
話していて印象に残ったキーワードは「慢」。遅い、スロー、ということ。
それは「これが正しいに決まってるじゃないか」と勝手に決めて人を急き立てること、すなわち暴力から自由になること、だと思う。

こちらの農園では台湾で農的生活をつくりたい人を支援している。農地を仲介してくれたり、ウーフどころか手伝いに給料が出たりする!

訳の分からないネットワークから身を振りほどけば、可能性は世界に無限に広がっている。そんな世界を作ることに参加する人が増えたら、きっと世界は変わる。

この農家さんはごく自然にそう信じていた。俺も笑いながら自然農をやってたら、気づいたら世界は笑ってると思っている。がんばってこー。


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