2016年5月4日水曜日

糸島でお米の種下ろし。バリと日本の育苗の違いとは?



去年のバリ稲作では育苗に本当に苦労した。とにかく芽が出ない!

その後、自分が用事で出国している間に農園主さんが新しく買ってきた籾でやったら出たのだが、どうにも自分ではうまくいかない。

バリの苗トレイ。しーん、ってかんじ

何がいったいそんなに違うのかと、日本に帰国したこの機会にお願いし、自然農に近い方法でお米作りをしてる糸島の某シェアハウスを訪問した。

糸島でも最も美しいエリア

幸運にも種下ろし(籾播き)の日に参加させてもらえて、いろいろとヒントを得ることができた。

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■朝は水の引き込みから作業開始!

この日の作業は田んぼに水を引き込むところからということで、朝から川にじゃぶじゃぶ入って水の堰き止め!

止めすぎて他の農地に行かないようにとか、思いがけず地域の水利管理を垣間見る。

朝の水は冷たく気持ちいい!

そしてその後は田んぼに移動して苗床作り。
ある程度畝にして作ってあるところに、水を引き込み均してゆく。

水が入ってくると田んぼが文字通りみずみずしく

晴れた日、きれいな水が巡ってくると田んぼに生命がめぐる感じがして自分はとても好きだ。

■土を均す

水が入ったら畝に水をかけつつ泥にして表面をフラットにしていく。

クワの裏を使って泥をならす

これが単純な作業のようでなかなか奥深い。

ただずーっと押したり引いたりしてると土が削れたりはがれたりして凹んでしまう。
うまく撫ぜるようにクワを操って表面と高さを均してゆく。

またこのとき、苗床の肩をきちんと作っておくほうがいい。
なだらかななで肩になってると、後で横を歩いたとき水が波になって端っこをさらってしまう。

するとせっかく播いた籾が流れていってしまうのだ!

高さは水を入れてひたひたになるくらい。
この高さが芽出しに重要になってくる。

水位とちょうど同じ

籾が乾いてしまうと芽は出ない。
しかし水没してしまうとそれはそれで芽は出ない。

稲はなかなかにデリケートでめんどくさいやつなのだ。

■そして籾播きへ

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苗床の準備ができたら作業しやすいよう水位を落として籾播き開始。
事前に11日だったか浸水してある籾は発酵していて、正直異臭を放っているッッッ!

そういえばバリでも発酵は大事だと言っていた

籾の感覚は1cmが理想らしいのだが籾が余ってしまうので5mmを目安に籾をバラまいてゆく。寄り過ぎたら後で離す。

準備ができたら籾播き! 

播き終わったら遮光カバーをかけて作業終了。

カバーを全面にかける

過去には稲藁でカバーしていたらしいが、綺麗に全面に掛けるのが難しく、トラクターで鋤き込むときに巻き込んでしまうのでこっちに変えたらしい。

■バリ育苗との違いは?

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一通り手伝わせてもらいながら、バリと何が違うのかずーっと考えていた。

気付いたのは2点、水位と遮光についてだ。

水位の違い

まず気付いたのは水位

バリでは苗床の周りにお堀は作るが、ひたひたにはしていない。
苗トレイとなると毎日水をやって水気を保つ。

ひたひたにはしないバリ育苗 

そう言えば地元の親戚も、育苗は田んぼで水を張ってトレイを並べていた。

バリ米は芽が出てもけっこう歩留まりが悪い気もしていて、乾かず沈せずのぴったり水位がやはり稲にはいいのかもしれない。このへんの繊細さに日本を感じる。

遮光をどうするか

あと違いは遮光カバー
バリでは日差しの強さがはんぱないので、遮光はもっと徹底的になる。

ビニールカバーで完全遮光

しかし日本では上記の通りいくらかは光を通す程度の遮光である。
これも日差しが強すぎなければある程度光が入るほうが発芽にはいいのかもしれない。

また覆土も違う。
川口式の自然農では薄く覆土するとのことだったので、バリでもそうしていた。

篩でやった、チョーきれいな覆土

しかし日本ではそんなことはしていない。

遮光カバーがあればいらないということなのだろう。
この田んぼでもそうだし、地元の親戚もそうだった気がする。

■日バリで同じ部分も

逆に同じだなと思ったのは発酵だ。

バリでは浸水の後、1~数日湿気のある暗所で乾かないように籾を置いておく。
それをバリの農園主さんは発酵と呼んでいた。

日本のは浸水から上げてすぐだったが、あのニオイは明らかに発酵していて、単に水を吸うのとはやはり違うのだろう。

そんなわけでバリと日本の種下ろし、色々な違いがよく分かった。

水に浸したり光を当てたりと、また試してみたいことがいくつかできて、大きな学びであった。

やっぱ実際にやってみんと分からんなー。
知識としては知ってたようなことなのに頭に浮かばんかった。

気付きは身体から、やね。


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