2016年5月12日木曜日

たんじゅん農法とは何か、知ってる限りでまとめてみる~理論編~



たんじゅん農法という農法がある。
たんじゅんは炭素循環の略で、ブラジル日系人が編み出した自然農の一種だという。

これがどういうものか、ひとことで言うと

「土中の微生物を活性化することで作物を作る」

というものだ。

微生物の力により作物が売れるレベルで育ち、虫もつかなくなる。
畑に行ってみると分かるが、本当に慣行農法と同じくらいに作物がよくできる。

ぴかぴかのたんじゅん野菜!

自分も初めて勉強会で見たときに、野菜も立派で虫も全然ついていなくて、これで農薬や化学肥料を使っていないなんてすごい!と思ったものだ。

しかしこの農法、あまりネットでよくまとまった情報が出ていない。
勉強会で分かった気になっても、おさらいしようとすると情報がなくて困る。

今回、長崎の畑を訪問させていただき色々お話を伺えたので、この機会に自分の知ってることをまとめておこうと思う。

※ちなみに訪問した畑はたんじゅん農法を超えてもっと自由にやっているので、これが一般的なたんじゅん農法かというとちょっと違うかもしれない。

■たんじゅん農法と自然農の違い

冒頭に自然農の一種だ、と言っておいてアレなのだが、たんじゅん農法は福岡農法のような純粋な自然農と少し違う。

というかそもそも自然農を意識して始めたかは分からなくて、広めた人が自然農の一つとして位置づけているということなのかもしれない。
その辺知ってる人、教えてください。

まあそれはともかく、たんじゅん農法も農薬や化学肥料を使わない。
さらに言うと堆肥も使わないので有機農でもない。

やはり自然農に近いものだと言えるだろう。

訪問させていただいた畑

ではたんじゅん農法と自然農はどう違うのか?

持ち出さず持ち込まない自然農

スポンサーリンク

自然農では基本的に圃場のでの循環を重視する。(収穫以外は)何も持ち出さず、持ち込まない。

例えばお米を収穫したら、籾はもちろん持っていくが稲わらは田に返す。

それらは土中の栄養を吸い上げたものなので、持ち出して捨ててしまったら土地から栄養が取り去られてしまい土が痩せてしまう。

そこで刈った稲わらを田にふっておくと、稲わらに固定された太陽エネルギーと土中の栄養が入るので、籾を収穫して持っていっても土地は痩せない。そういうアイデアだ。

微生物の力を借りるたんじゅん農法

たんじゅん農法は廃菌床や炭素材と呼ばれる木材チップなどを外から圃場に入れるので、持ち込まず、にはならない。

しかし自然の法則と調和して微生物を活性化し、生態系自身の生命力によって栽培を試みる、という意味ではやはり慣行農法の対極にあるものだ。

さらに作物の出来、という意味で言うと、冒頭に書いた通り普通の自然農を遥かにしのぐものができる。

■微生物を活性化するリクツ

では微生物を活性化するにはどうするのか?

作物を育ててくれるのは土中の好気菌である。

たんじゅん農法では好気菌の活動を助けるため、土中の腐敗を改善し、通気を確保し、菌の餌となる炭素材を畑に投入する。

水はけをよくし、腐敗と通気を改善

スポンサーリンク

たんじゅん農法では、まず水はけを対策する。

土中には慣行農法や有機農法で使われた肥料が堆積し腐敗している層がある。
硬盤層と呼ばれ、それが水を止めた上で腐敗させてしまう。

それを吸い上げた作物は虫がよくつく。よくたんじゅん農法者はそういう野菜を指して「虫の食いものを作っている」という言い方をする。

正確に言うと科学的にそうなのかは分からないのだが、そう把握されているということである。

水はけをよくして土中の状態を改善すると、腐敗した水がはけてなくなり、きれいな水だけになるので虫がつかなくなる、という。しかし実際、本当につかないのだ。

さらに水はけをよくすることによって、土中の通気が確保される。これが有用な微生物の呼吸を可能にする。

微生物に炭素材を与える

水はけを改善した上で、畑に「たんじゅん」の名にも入っている炭素を入れる。

具体的には炭素材と呼ばれる、木材チップなどを土中に埋めたり地表に敷き詰める。
これが微生物の餌となる。

また、廃菌床も敷き詰め、表面で土と混ぜる。
これが炭素材の意味合いなのか、菌の寝床といった意味合いなのか、はたまた菌自体を補給しているということなのかはまだ自分は分かっていない。

廃菌床を混ぜた土

以上のセットアップに成功すると、微生物が呼吸しながら餌を食べることが可能となり、活性化する。これが作物をよく育てる。

水がはけていくので水分が足りなくなるんでは?とも思えるが、微生物が活動する中で空中や地表の水分を吸い込むので、作物が生長する上で必要な分は常に土中にある状態になるという。

■バリにおけるたんじゅん農法の可能性

スポンサーリンク

例えばバリでは乾季は本気で雨が降らない。
だから朝夕の水やりが欠かせないし、それがまた結構な労力である。

しかしバリの土は強い粘土質で、水などやったら確実に土中に溜まってしまう感じもする。

南国バリでもたんじゅん農法は機能するだろうか?

乾季でも水分はある

実は乾季のバリであっても朝夕には水が地上に降りてきている。

植物の葉に朝露は当たり前についていることからそれは分かる。
朝、圃場を歩けば靴は水分でぐじゃぐじゃになる。

乾季でもこれだけ草が育つので、おそらく水分は充分ある

よって、空気中には十分な水分がある。

その水分が好気菌の呼吸によって土中に吸い込まれれば、必要な水分は土中に十分取り込まれる。

バリのたんじゅん農場

実際、バリでもたんじゅん農法をされているところはある。
そこでは乾季でも水やりはしていないという。

草でマルチなどもやっているが、聞く限りそれは一応という感じで、基本的に圃場のセットアップだけで大丈夫そうであった。

本当に水やりがいらなくなるのであれば、最初の労力はかかるものの、その後の省力化で十分お釣りが来る。
特に水不足が年々深刻になるバリにおいて、大きな可能性なのであった。

最後にこれは千葉県の農場なのだが、この小松菜畑を見てほしい。
虫も食わず、所狭しと小松菜がわっさわさにできている。


これ、ホントに無農薬無施肥なんだよ。


その他のたんじゅん農法に関する情報はこちら(・∀・)

たんじゅん農法とは何か、知ってる限りでまとめてみる~実践編~
持ちこたえることと本質的な対処と、それを支えるもの
これがたんじゅん農法2.0だ!労力ほぼゼロのたんじゅん畑が登場した!


スポンサーリンク


スポンサーリンク


0 件のコメント:

コメントを投稿