2016年11月16日水曜日

今は機械もあるから楽だし農業始めたいとか思ってるやつちょっとこい( ̄▽ ̄



今年、初めて機械を使った近代農業というものに参加した。
日本の拠点にしたいと密かに活動中の九州某所で、ある営農組合さんの稲刈りを手伝わせてもらったのだ。

お米づくりに取り組むようになって早5年、しかし千葉でもバリでもクワとカマだけでやってたので、機械を使った農業がどういうものか実はまったく知らないのであった。

がんばるでー

機械を使えば労力いらんから爺ちゃんでもできる、というのはよく聞く話で、実際この営農組合も高齢化が進み、基本的に皆さん70代くらいである。
70のひとができるんだから、さすがにおっさんの俺もなんとかなるだろう。

。。そんな風に考えていた時期が、俺にもありました( ̄▽ ̄

ここでは農業を始めたいな~みたいに考えるあなたに、「農業」の意味はこういうことだという自分の実感をお伝えします。


■農業を始めたいあなたへ:機械の馬力はすごいぞ

自然農の田んぼは何度もやってきたが、機械を使うとどうなのか?
やはり劇的に楽なのか?

という興味もあって手伝わせてもらった稲刈りだが、確かにコンバインはすごかった。

今の農業は機械まかせ?

まず機械農業は稲刈りにコンバインを使う。刈り取り・脱穀が一体化しており、だから運転に一人乗員がいればそれで事足りる。。そんな風に考えてい(以下略

実はコンバイン稲刈りにも人力作業はある。まずコンバインが入りにくいコーナーなどは手刈り。
ぬかるみがひどいところも同じ理由で手刈り。


まあ大した量ではないが、機械が入れるような基盤整備された田んぼは山あいでも2反はあり、コーナーを渡り歩くのもそれなりの距離ではある。
特に今年は雨が多く、田んぼがぬかるんでいてけっこう動くだけで体力を削られる。


で、そういう手作業と並行してコンバインがバリバリ稲を刈ってゆく。


籾が一杯になるとコンバインがBEEPを出すので、化けもんのようなでかい袋にざーーーーっと入れて軽トラで乾燥や籾摺りをするライスセンターに運ぶ。


まあこれを繰り返して1日に2反程度の田んぼを2,3枚やる感じだろうか。

光の速さの農家さんたち

じゃやっぱそんな筋肉使わんやん、と言えばそうだし、実際コンバインでほとんどやるので応援の人員は手刈り部分が終わったら、籾を運ぶまで基本見守るだけである。

しかしある意味このヒマが敵で、やることもなく知らんおっちゃんばっかの中で会話もなく、ついつい落ち穂拾いとか、刈り残しを探し回って刈ったりとかしてしまう。
いやそれはいいんだけど、退屈しのぎにやり過ぎるので、気づいたらかなり疲れている(^_^;)

その点、周りのおっちゃん見てると基本じっと立ってて、たまたま自分が動いた先に刈り残しやらがあったら手刈りする、という感じ。
そんなウロウロしてないのである。

無駄な動きはなく、トラブったら即座に駆けつけ

また仲間が働いてるのに俺が座って見てるわけにはいかん、という意識があるのか、やることがなくても応援のおいさんはずっと立ちっぱなし。
そして減農薬で草が多いため、たまにコンバインに詰まるのだが、そうなったら光の速さで駆け寄って取ってしまう。

それくらい常にスタンバっているのである。
自分も一回くらいと思ってたのだが、結局一度も取ることができなかった。

しかしコンバインの馬力は確かにすごい。
この広さを手刈りだともう考えただけで気が遠くなる(^_^;)

■ライスセンターで考える、機械化された農業は楽なのか?

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さてコンバインで袋に詰めた米はライスセンターで乾燥等を経て保管する。

田んぼと違い工場めいた環境がいまいち好きになれなかったかな(^_^;)

それはともかくここでは米を運ぶフォークリフトのパレットづくりと米の積み上げを仰せつかった僕様。

これも電動の機械を使いまくるので別に大変じゃない。。のだろうか?!

ライスセンターでパレットを作る

ライスセンターに持ち込んだ巨大袋の米は、乾燥・籾摺りを経て30kgの袋に小分けされる。
この30kgを一袋(いったい)と呼び、それを積み上げて出荷まで保管しておくのである。

この量になると米を運ぶのもフォークリフトの出番となる。


そしてフォークリフトで運ぶためには、荷を乗せるパレット(受け皿みたいの)が必要となる。


それももちろんお金出せば買えるのだが、やはり高いらしくこの組合ではホームセンターで買ってきた木材を加工して自作している。
とりあえずみんな籾摺りで忙しいので、これを作っとくのを仰せつかった。

電気工具を使ったって重労働

まあ自作っつったって別にノコギリとトンカチと釘ってわけではなく、もちろん電動工具でやるので大した労力もいらない。。そんな風に考(略

これが片側に7枚ずつ板が必要なので、長い木材から切り出すため運ぶのがけっこう大変。
1枚1枚は大したことはないのだが、なにしろ一個パレットを作るのに14枚必要なのだ。

それ以外に間に挟む棒材が4本。
きっちりと寸法を測るのも神経を使う。

さらにこれを作ってる間というのは基本ずーーーーっと中腰!!
これがまたキく!!(--

稲刈り手伝いの後、半日くらいかけて3枚作ったのだが、終わった後は腰が痛くてもうぐったり。
自分で作って重ねたパレットの上に寝転がり、ひたすら空を見上げる僕様であった。


実際この作業はいつもやってる人でもけっこう大変らしく、3枚作ったらだいぶ感謝してもらった。
ちょっとだけお役に立てたのがうれしかったが、その後2日は家から出かけるのも億劫だった(笑)

よかった雨で休みなって(^_^;)

無数の米袋を積み上げる

さて籾摺りが終わった米を袋に詰め、保管のため積み上げるのも一部は人力である。
パレットの上に30kg袋を積み上げ、ある程度になったらフォークリフトで運び出す。


30kgというのはけっこうな重さで、うまく持たないと腰をやってしまう。
だから籾摺りで袋に詰めたら口を綴じて、パレットに積むときに持つ高さまで揚げてくれる機械というのまである。

左が袋を持ち上げる秘密兵器・ラクだくん

籾摺りした米で袋が一杯になったら、袋の口を綴じてこの持ち上げ機械・ラクだくんに横倒しする。
自動で上がった袋をパレットに移せばいいので、腰を曲げる必要がない。
だから普通に積むより格段にラクなのだが、それでもあの量!である。


そもそもこんな巨大袋に詰まってるような量なのだ。

量が追いついてくる現代の農業

本当に1日中袋を移し続ける感じで、確かに爺ちゃんでもできる作業ではあるのだがかなりの重労働。

ラクだくんの威力を持ってしても、二の腕の内側がキョーレツな筋肉痛となった。

みっしり積み上がる米袋!

というわけで機械があるからと言っても量が省力化を打ち消すほどに追いついてくる近代農業、これはなかなかに得がたい経験であった。

■農業を始めたい?

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よく言われることかもしれないが、「農」と「農業」は違うということ。

自分には「農業」は「農」と「工場」の間くらいにある何かに思えた。

そして自然農と違い、大きな投資とその回収に追われる中、いわゆる「中流」の生活ができるようなお金が手に入る。そういうものののようだ。

農業を始めると、付いて回るのは「お金」

これだけ省力化したら食う分つくるだけだったら一瞬のはずで、それなのにこんな量をやらねばならないのにはもちろん理由があって、それは例えばこのコンバインにある。

シャキーン!
このコンバインで実に500万円!
地域で営農組合を作ったりといった政策に沿っているので実際には補助金もある程度出たらしいが、それにしても500万である。
ハーフ1千万である。

これで米のキロ単価がいくらかとか考えるといろいろ分かってくるわけである。

ここの組合ももちろんお米を売ったりでお金は稼いでいるが、これだけの量を売っても組合員に十分な給料が出るわけではないらしい。

いわゆる年金百姓というやつで、そうでなければ成り立たない。この先年金が無くなったらどうしようもなくなるわけである。

さらに機械はコンバインだけではなく、フォークリフトもラクだくんもタダではない。
ライスセンターの巨大乾燥機も籾摺り機もすべて買い揃えねばあの量は捌けない。

農機具はランニングコストもかかります

そして購入した機械全部に最初の購入費だけでなく、油代、メンテといったランニングコストも当然かかってくる。


組合に溶接までできる人がいるので修理に工賃はかからないが、かかったらいったいいくらになるのだろう。
要するに、それだけ稼がねばならないということなのである。

そんなわけで夕焼け空は働き者の証。

1日の作業が終わった後、この夕焼け空を見上げるだけでいいならどれほど幸せだろう

朱に染まる空を見上げながら、戦い終わって日は暮れて、だけでは済まない、その後に巨額のお金の計算まで付いて来る、そんな近代農業について、様々に思いを巡らせる僕様であったのだ。


その他の九州で農業手伝ってみた記録はこちら :)

手刈りはざ掛け天日干し!これが日本の稲刈りだ\(^o^)/生きるためにはたらくぞ!


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