2016年9月8日木曜日

これがたんじゅん農法2.0だ!実践編(3)畑との対話が始まる



これまで実践編(1)(2)と畑のセットアップを追ってきた。

簡単にまとめれば、


  • 有用菌を培養し
  • 作物の根っこを強く育て
  • 水はけを必要なだけ対策する


ということになる。

上記のセットアップにより、土中の腐敗を改善し、有用菌に作物を育ててもらうことを期待するわけだが、もちろんそれらが直接見えるわけではない。

ので、たんじゅん農法者は様々な徴候からうまく行っているかどうかを判断する。

例えば土や作物を直接観察して、


  • 土がさらさらふかふかになってるか
  • 根は張ってるか
  • 虫はついてないか


といったことを確認したりするわけだが、それ以外にも典型的なメルクマールがある。

土はさらさらになっているか?(これはなり切っていない)

それがキノコ雑草である。それらが畑の土の状況についてサインを出してくれている。たんじゅん農法者は、炭素材を片手に、常に畑と対話しながら作業を進めるのである。

■畝にキノコが?!

たんじゅん農法は糸状菌を有効活用するので、土中では菌が充満している。なので廃菌床など使っていると特にだが、畝にキノコが生えることがある。


これはある意味で良い兆候であり、別の意味では対策の必要を告げている。

キノコは一定以上の菌が集まらないとできないので、それができるということはたくさん培養できてるということ。これは良いことだ。

しかしキノコというのは、その場に菌の餌がなくなったとき、傘を作り胞子を風で散らすことで、餌のあるところに引っ越すために生えるものでもある。

ということはたくさん菌はいるのに、食べるものがない、というサインでもあるのだ。

炭素材が好気菌の餌なので、「我々にここにいてほしければ餌を補充しなければならない」とキノコが告げているのである。



■雑草で分かる土の質

土地の肥沃さは、雑草によく現れる。

微生物培養をする前の畑はこんな感じだが、

ガチガチに近い土に生える

よく見ると葉が細いタイプの雑草ばかりであることが分かる。これは原種に近い種類らしく、痩せた土地でも生えてくるらしい。

それが少しましな土になると種類が変わってきて、

ここは山土を補充したエリア

少し広い葉の、背丈のあるものに変わる。

ここは同じ畑でも他から土を持ってきたところであるという。

そして菌を培養し土がいい感じに作れてくると、

葉物みたいのが生える

このような”ほよほよ”して背丈の低いものができてくるらしい。葉物野菜に近くなる。

このように、雑草とも対話しながら、たんじゅん農法者は土の状態を見極めている。

■戦い終わって日は暮れて。。

そんなこんなで2~3時間はいろいろ教えてもらっただろうか。なんというか圧倒的な時間であった。1回めの収穫はまだ先だが、どうなるにせよ貴重な学びとなると思われる。

ジョグロの日陰で、反芻しながら一休み。。

この新しい方法のポイントの一つは、元の土を掘り返す方法と同じ効果を省力化した方法で得ることにあるのだが、もう一つ重要なポイントは前回も書いたが硬盤層に対する考え方が全く違っていることだ。

硬盤層を絶対的な悪と見るのではなく、本来の姿に戻ってもらうよう働きかけ、調和を試みる。自分の思う「本来」が正しい見立てかはまだ分からないので、対話しようとしている。そんな風に思える。

その対話の態度がユンボやチッパーといった明らかに強引な手法に再考を促す。

そしておそらくはその対話の態度こそが、自然農と呼ばれるものの本質なのだ。結局変わったのは自然の仕組みではなく、再考する自分なのだ。

■始まる対話

この畑も収穫はこれからで、根による土壌改善も今始まったところ。安定的に畑を運営していく方法を確立するには、まだまだ長い道のりがある。

対話は始まったばかりで、だからこそ当たり前だがこの「対話する態度」が重要となる。

自然からのフィードバックを受け取り続ける。それをこそ楽しむことが、それを可能とするだろう。

これまで積み重ねてきた畑との対話を追体験させてもらい、農園主さんが感じた希望が、自分にも伝わってくる気がした。

このままうまくいって、土壌が完全に改善したらどうなるのだろう?と考えるだけでわくわくする。

だってうまくいったらそこから先は、


  • 耕起することもなく
  • 炭素材の籾殻(タダ同然)を補給し続けるだけで
  • 農薬も肥料も使わず
  • 土も水も汚さず
  • 虫もつかず病気にもならない
  • 立派で美味しい野菜が


獲れ続けるのだから!

また帰バリした際には必ず手伝いに訪れたいと思っている。

ここまで読んでくれた人に、この希望が伝わりますように^^


関連リンク:
たんじゅん農法2.0、実践編(2)根っこをお世話し、水はけを対策するの巻
これがたんじゅん農法2.0だ!労力ほぼゼロのたんじゅん畑が登場した!


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